1. PF・S形 最小構成(変圧器1台)
高圧受電設備でいちばん簡素な形です。主遮断装置に遮断器を使わず、限流ヒューズ付きの負荷開閉器で短絡保護と開閉を兼ねます。
図1:PF・S形 最小構成(変圧器1台)の単線結線図(スマート単線図で作図)
構成(上から順に)
- 引込 6.6kV → PAS(区分開閉器)
- ケーブルヘッド
- VCT・電力量計(Wh)
- 避雷器(LA)
- PF付LBS(主遮断装置)
- CT・電流計(A)/VT・電圧計(V)
- LBS → 変圧器 Tr 1φ → 電灯負荷
特徴・使いどころ
小さな店舗・事務所・小規模工場向け。機器点数が少なく安価ですが、ヒューズは整定が変えられず、動作すると交換が必要です。
図で確認するポイント
CTと電流計、VTと電圧計が細い線(二次回路)で結ばれていること。主遮断装置の記号が遮断器ではなくヒューズ付き開閉器であること。
設計・申請で問われる点
PF・S形を選べるのは受電設備容量が300kVA以下の場合です(高圧受電設備規程)。限流ヒューズの定格は変圧器の励磁突入電流で溶断しない値を選び、1相だけ溶断して欠相運転にならないよう、ストライカ引外し式のLBSを指定します。PASは電力会社との保護協調上、地絡継電器(GR/DGR)付きとするのが一般的です。
2. CB形 標準構成(変圧器2台+進相コンデンサ)
主遮断装置に真空遮断器(VCB)を使い、過電流継電器(OCR・51)で保護する標準的な構成です。PASには地絡方向継電器(DGR・67)を付けています。
図2:CB形 標準構成(変圧器2台+進相コンデンサ)の単線結線図(スマート単線図で作図)
構成(上から順に)
- 引込 6.6kV → PAS + ZCT・ZPD → DGR
- ケーブルヘッド → VCT・Wh
- 断路器(DS)・避雷器(LA)
- VCB + CT → OCR(I>)
- VT → 電圧計、CT → 電流計
- LBS(電灯) → Tr 1φ/LBS(動力) → Tr 3φ
- LBS(コンデンサ) → 直列リアクトル → 進相コンデンサ SC1
特徴・使いどころ
工場・ビルの受電設備でもっとも多い形です。OCRの整定で保護協調が取れ、遮断後の再投入も容易です。
図で確認するポイント
PASの脇にZCT・ZPD・DGRが組で描かれていること。進相コンデンサの前に直列リアクトル(6%)が入っていること。変圧器ごとにLBSで区分されていること。
設計・申請で問われる点
OCRの整定は電力会社の配電線保護との協調が前提で、限時要素(51)と瞬時要素(50)の電流タップ・時間レバーを申請図に記入します。進相コンデンサには高調波対策として直列リアクトル(6%)を必ず組み合わせ、コンデンサ回路のLBSは開閉サージに耐える定格を選びます。PASのDGRは方向性をもつので、ZCTの極性(K・L)を電源側に合わせます。
3. CB形 3系統(電灯2台+動力1台+進相コンデンサ)
上のCB形標準構成に電灯変圧器を1台追加した形です。母線から分岐する系統が増えても、受電部(PAS〜VCB)は変わりません。
図3:CB形 3系統(電灯2台+動力1台+進相コンデンサ)の単線結線図(スマート単線図で作図)
構成(上から順に)
- 受電部はCB形標準構成と同じ
- 母線から 電灯1・電灯2・動力1・SC1 の4系統に分岐
- 各系統の入口にLBS
特徴・使いどころ
電灯負荷が大きい事務所ビル、または増設で変圧器が増えた設備。
図で確認するポイント
母線が横線で描かれ、そこから下向きに各系統が分岐していること。系統ごとに変圧器の相数(1φ/3φ)が異なること。
設計・申請で問われる点
変圧器を増設したとき最初に確認するのは、契約電力とPAS・VCBの定格電流に余裕があるかです。系統を増やしても受電点の短絡電流は変わりませんが、追加した系統のLBSの遮断容量と、OCRの整定に対する保護協調を見直します。電灯変圧器が2台になると、低圧側の中性点接地(B種接地)の取り方も系統ごとに整理が必要です。
4. CB形 キュービクル 実設計詳細(計器盤・継電器盤付き)
実際の申請図に近い密度で描いた例です。責任分界点、SOG(GR)付きPAS、計器用変成器の台数(2×VT・LA×3)、電流計・電圧計の切換開閉器(AS・VS)、VCB投入用の制御電源まで含めています。
図4:CB形 キュービクル 実設計詳細(計器盤・継電器盤付き)の単線結線図(スマート単線図で作図)
構成(上から順に)
- 責任分界点 → PAS(SOG・GR)
- CH → VCT
- DS → LA×3 → VCB
- 2×VT → VS・電圧計、CT → AS・電流計
- OCR(I>)・UVR(U<)
- 母線 → 電灯1・電灯2・動力1・SC1
- 低圧側 MCCB
特徴・使いどころ
電力会社への受電申請や保安規程の添付図面に近い表現が必要なとき。
図で確認するポイント
「×3」「2×VT」のように台数が注記されていること。UVR(27)が停電検出用に入っていること。責任分界点が明示されていること。
設計・申請で問われる点
受電申請では責任分界点の位置(PAS電源側の接続点)と計量点の明示が求められます。VTは2台のV結線が標準で、LAは各相に1本ずつ入れるため「×3」と注記します。UVR(27)は停電後の復電時に変圧器を一斉投入しないためのVCB引外し用で、VCB投入用の制御電源の取り方を図に含めるのはこのためです。AS・VSの切換開閉器は相ごとの計測に使います。
5. 高圧電気室 多系統(CB形・大容量)
変圧器5台(電灯3台・動力2台)と進相コンデンサを持つ電気室の例です。系統が多くても、単線結線図では母線から並列に並べることで全体を1枚に収められます。
図5:高圧電気室 多系統(CB形・大容量)の単線結線図(スマート単線図で作図)
構成(上から順に)
- 受電部はCB形と同じ(PAS・DGR・VCT・DS・LA・VCB・OCR)
- 母線から 電灯1〜3・動力1〜2・SC1 の6系統
- 各系統にLBS
特徴・使いどころ
工場、大規模ビル、病院など。系統数が多い設備では、母線を長く取り、同じ役割の変圧器を隣接させると読みやすくなります。
図で確認するポイント
系統が増えても受電部は1か所であること。負荷の種類(電灯/動力)で変圧器の相数が分かれていること。
設計・申請で問われる点
大容量になると受電点の短絡電流が大きくなり、VCBの定格遮断電流(12.5kAなど)と母線・LBSの短時間耐電流が適合しているかを確認します。変圧器が5台以上では負荷の偏りが出やすいので、電灯・動力を隣接させて母線の並びを揃え、系統ごとにLBSと電流計を持たせると保守時の切り分けが容易です。契約電力が2,000kWを超えるなら特別高圧受電の検討が必要になります。
6. 太陽光発電の単線結線図:自家消費型(逆潮流防止 RPR付き)
太陽電池アレイ → 接続箱 → PCS → 連系用変圧器 を受電キュービクルの母線に連系した例です。売電しない自家消費型なので、逆電力継電器(RPR・67P)で逆潮流を検出して解列します。
図6:太陽光発電の単線結線図:自家消費型(逆潮流防止 RPR付き)の単線結線図(スマート単線図で作図)
構成(上から順に)
- 受電部:PAS・DGR・VCT・DS・LA・VCB・OCR
- 系統連系保護:OVGR(64)・OVR(59)・UVR(27)・OFR/UFR(81)・RPR(67P)・UPR
- 太陽電池アレイ → 接続箱 → 交流集電盤 → PCS
- 連系用変圧器 → 母線
- RPC(逆潮流防止制御)、エネセーバ、ELR、SPD
特徴・使いどころ
工場・倉庫の屋根置き太陽光で売電をしない設備。系統連系規程で求められる保護継電器の組み合わせがそのまま図に現れます。
図で確認するポイント
RPR(P←)が連系点の電力の向きを見ていること。OVGR・OVR・UVR・OFR・UFRが解列用の一群として描かれていること。PCSから母線までに連系用変圧器が入っていること。
設計・申請で問われる点
系統連系規程では、高圧連系の発電設備に OVGR(64)・OVR(59)・UVR(27)・OFR/UFR(81)を求め、逆潮流なし連系ではさらに RPR(67P)を設けます。OVGRの零相電圧はPASのZPDから取る場合と、構内の高圧側にEVT(接地形計器用変圧器)やZPDを別途設ける場合があり、どちらかが申請図で確認されます。PCSの単独運転検出機能(受動的・能動的方式)も併せて記載します。
7. 太陽光+蓄電池の単線結線図(自家消費・自立運転付き)
太陽光のPCSに加えて蓄電池用のPCS(蓄電)を持ち、停電時に自立運転できる構成です。連系用変圧器を介して母線につながる点は太陽光単独と同じです。
図7:太陽光+蓄電池の単線結線図(自家消費・自立運転付き)の単線結線図(スマート単線図で作図)
構成(上から順に)
- 受電部:CB形と同じ
- 系統連系保護:OVGR・OVR・UVR・OFR・UFR・RPR・UPR
- PV1(アレイ)→ PCS、蓄電池 → PCS(蓄電)
- 連系用Tr → 母線
- RPC・エネセーバ
特徴・使いどころ
BCP(事業継続)で停電時にも一部負荷を動かしたい設備。蓄電池側のPCSが自立運転を担います。
図で確認するポイント
発電(PV)と蓄電(蓄電池)の2系統のPCSが並列に描かれていること。解列用継電器の一群がひとまとまりになっていること。
設計・申請で問われる点
蓄電池用PCSを追加しても系統連系保護は太陽光と共通の1組で足りますが、自立運転時に系統と切り離す解列点(連系用遮断器)と、自立運転で受け持つ負荷の回路を明確に分けて描きます。停電時に発電・蓄電のどちらのPCSも系統へ電力を出さないこと(単独運転防止)を図で示せることが重要です。蓄電池の充電に系統電力を使う場合の逆潮流の扱いは、電力会社との協議事項です。
8. 非常用発電機の単線結線図(防災用・ATS自動切替)
消防法・建築基準法で求められる防災用の非常用発電機の例です。停電をUVR(27)で検出し、ATS(自動切替開閉器)で非常用母線を発電機側に切り替えます。系統とは並列運転しないので、系統連系保護は不要です。
図8:非常用発電機の単線結線図(防災用・ATS自動切替)の単線結線図(スマート単線図で作図)
構成(上から順に)
- 受電部:CB形実設計詳細と同じ(責任分界点・SOG付きPAS・VCB・UVR)
- 常用母線 → 電灯・動力・SC
- 非常用発電機 G → 52G → ATS
- 非常用母線(低圧)→ 消火ポンプ盤・排煙設備盤・非常照明盤
特徴・使いどころ
病院、大規模ビル、工場の防災設備。非常用母線に何がぶら下がるか(消火ポンプ・排煙・非常照明)を明示するのが図面の要点です。
図で確認するポイント
ATSが「常用受電より」と発電機の2入力を持っていること。非常用母線が常用母線と分かれて描かれていること。発電機の遮断器が52Gと番号で示されていること。
設計・申請で問われる点
非常用発電機は消防法(非常電源)と建築基準法(予備電源)の双方の要件を満たす必要があり、40秒以内の電圧確立と、消火ポンプ・排煙機・非常照明など負荷ごとの必要運転時間が図面と併せて審査されます。ATSは常用側と発電機側を機械的にインターロックし、発電機側には過電流(51G)と過電圧・不足電圧の保護を持たせます。系統と並列運転しないので系統連系保護は不要ですが、発電機の中性点接地方式は記入します。
9. 常用発電機 系統連系(同期検定25・RPR付き)
常時運転する発電機を系統と並列運転する例です。非常用発電機と違い、系統につないだまま運転するため、同期検定装置(25)で並列条件を確認し、系統連系保護継電器(OVGR・OVR・UVR・OFR・UFR・RPR)で系統異常時に解列します。
図9:常用発電機 系統連系(同期検定25・RPR付き)の単線結線図(スマート単線図で作図)
構成(上から順に)
- 受電部:CB形実設計詳細と同じ
- 常用発電機 G → 連系用 52(同期検定 25)→ 連系用Tr → 母線
- 系統連系保護:OVGR(64)・OVR(59)・UVR(27)・OFR/UFR(81)・RPR(67P)
- 母線 → 電灯1・動力1・動力2・SC1
特徴・使いどころ
コージェネレーション、ガスエンジン発電、常時運転するバイオマス発電など。
図で確認するポイント
発電機の遮断器に「25」が添えられていること。RPRが逆潮流の向きを見ていること。非常用発電機の図(ATS)との違いは、母線を分けずに並列運転する点です。
設計・申請で問われる点
常用発電機を系統と並列運転する場合は、逆潮流の有無に応じた系統連系保護(OVGR・OVR・UVR・OFR/UFR、逆潮流なしなら RPR)に加えて、並列投入時の同期検定装置(25)が必須です。発電機側の保護には過電流(51)・過電圧(59)・不足電圧(27)に加えて逆相・不平衡(46)や周波数(81)を設けることが多く、解列点をどの遮断器にするか(連系用52か受電VCBか)を図で明示します。系統故障時の解列時限は、電力会社の再閉路時限より短く整定します。
受電方式の比較表
| 方式 | 主遮断装置 | 規模の目安 | 短絡保護 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|---|---|
| PF・S形 | PF付LBS | おおむね300kVA以下 | 限流ヒューズ | 安価・省スペース | 整定不可、動作後はヒューズ交換 |
| CB形 | VCB + OCR | 300kVA超 | 過電流継電器(50/51) | 整定で保護協調が取れる、再投入が容易 | 機器点数が多くコスト高 |
| CB形+発電設備 | VCB + OCR + 系統連系保護 | 発電設備の有無で決まる | OCR + 解列用継電器 | 自家発電・蓄電を系統と協調運転 | 継電器の種類が増え、整定・試験の手間が大きい |
図面の見た目を左右するのは主遮断装置の形式と、母線から分岐する系統の数です。受電部(引込からVCBまで)はどの例でもほぼ共通で、違いは母線より下と、発電設備の有無に現れます。
自分の設備の単線結線図を作る
ここに掲載した9種は、すべてスマート単線図の「サンプルから選ぶ」に入っている雛形です。近い構成を挿入して、変圧器の台数や容量、継電器の有無を直せば、自分の設備の図になります。 「回答して作る」を選べば、受電方式・変圧器の構成・発電設備の有無を質問に答えるだけで、記号の配置から結線までを自動で作図します。 図を SVG でそのまま持ち帰りたい場合は テンプレート無料ダウンロード、Excel・Jw_cad・CAD との使い分けは 作成ソフト比較 を参照してください。